『無人島に生きる十六人』

『無人島に生きる十六人』

はっぴーわーきんブログをご覧の皆さん、こんにちは。利用者のKIです。

先日Twitterを見ていたら、椎名誠さんのエッセイが流れてきました。

太平洋の無人島に漂着した16人の日本人が腹いっぱい堪能した「牛肉よりうまい動物」の名前

海水で煮た潮煮は最高だった

『無人島に生きる十六人』(須川邦彦著)の話ではないですか。懐かしい! まさにこのエッセイ中で触れられている、椎名誠さんが解説を書いている新潮文庫版を昔読みました。確か、椎名誠さんが2000年頃に書いたエッセイでお勧めされていてそれで読んだ記憶があります。

今では著作権切れの本を無料公開している『青空文庫』で全文が公開されていて、誰でも読むことできます。

無人島に生きる十六人 須川邦彦

椎名誠さんがしきりに気にして、見出しにもなっているのは「アオウミガメの肉」の話です。現地でしか口にされない食べ物の味、こういうのは漂流小説・冒険小説の醍醐味。『ぐりとぐら』のカステラだって気になるし、出てくる食べ物を気にしてしまうのは読書をしていてよくあること、ハリポタの百味ビーンズだって商品化されている世の中です。

正覚坊のことを、一名アオウミガメというのは、暗緑色で、暗黄色の斑点はんてんがあるからで、大きさも、形もよくにた海がめにアカウミガメというのがある。これは、からだが、うすい代赭色で、甲は褐色であるからだ。アカウミガメの肉は、においがあって、食用にならない。肉ににおいのあるかめは肉食をして、魚をたべているかめで、正覚坊は海藻をたべているから、においがないのだ。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001120/files/42767_15618.html

アカウミガメは美味しくなく、アオウミガメは美味しい。見た目はほぼ同じ動物でそんなに味が違うのでしょうか。それを考えていたら、これと全く同じ説明を他のところでも読んだのを思い出しました。『ヤングジャンプ』で連載していたアイヌの文化を扱う人気漫画『ゴールデンカムイ』の114話「エチンケ」です。

作中、クンネ・エチンケ(アオウミガメ)は美味しく、フレ・エチンケ(アカウミガメ)は美味しくないとされ、狩猟したアオウミガメを食べています。肉は鶏肉みたいで美味しく、食べることのできる腹側の甲羅は高野豆腐のようだとされています。

やはりアオウミガメは美味しい。アカウミガメは美味しくない。これはウミガメを食べる習慣がある地方では共通の認識のようです。しかし「牛肉より美味しい」「鶏肉みたい」味の感想の方向がけっこう違いますね。

現在はアオウミガメもアカウミガメも、ワシントン条約の保護下にあって捕獲禁止ですから味を確かめることはできません。だからこそ妙に気になる描写ですよね。

もし日本でアオウミガメを食べようと思ったら、小笠原諸島まで行かないと無理だそうです。……でもこうなると実際に小笠原諸島で食べた人の感想、聞きたいと思いませんか? 調べてみました。「馬肉のよう」との事で…………え? 牛肉でも鶏肉でもなくて、馬肉? ますます味の想像がつかなくなってしまいました。

取り止めのない話になってしまいましたが、こうして疑問一つ調べるだけでどんどん気になる事が増えていくのも、読書の楽しみという事で一つ。みなさんも私のもやもやを共有していただければと思います。


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